カリテスが考えるパーソナルカラー04:誰のための、何のためのパーソナルカラー?

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パーソナルカラーについて、記事の更新が滞っていましたが久しぶりに更新します。

ここまでパーソナルカラーとは何か、似合うとは何か、そして前回は「ファッション販売への応用」について書きました。

 

「似合わない」ってなに?

前回の記事に書いたように、過去のパーソナルカラーでは「なじむことが似合うこと」という考え方が多く、この考え方からすると「なじまない色=似合わない色」となりますが、本当にそうでしょうか?

そもそもわたしは「似合わない」という言葉が好きではありません。昔から「似合わない」という言葉は使わないよう意識しています。

我々プロが使う「似合わない」という言葉は、顧客に大きなダメージを与えると思っているからです。

わたしも仕事柄パーソナルカラー診断をいくつか受けたことがありますが、その中で「似合わない」と言われたことは、嫌な記憶として今もはっきりと覚えています。

また、自分がパーソナルカラーのサービスを行った時やセミナー講師をした際、また商談の中でもこんな声がありました。

・以前にパーソナルカラーを受けたときに、好きな色を「似合わない」と言われてショックだった。

・娘がパーソナルカラー診断を受け、「オレンジは似合わない」と言われてからオレンジを着なくなった。母親の私から見るとオレンジが似合うと思うのですが。

・ブライダルの会社の商談で。パーソナルカラリストはお客様に色を押しつけたり、似合わない、と言い切ったりする方が多いので、ブライダルの現場では導入しにくい。

・パーソナルカラー診断で、似合う色よりも似合わない色のグループを先に言い渡され、似合わないとされる色も気になるのに、一切ドレーピングしてもらえなかった。

 

ヘアサロンに行ったとき、洋服を買いに行ったとき、「これはあなたには似合いません」と言われたら、どんな気持ちになりますか?

 

何でも話せる友人から「似合わない」と言われたり、それこそマツコデラックスさんのようなキャラクターの方に「似合ってないから着たらダメよ」と言われたりするのと、その道のプロが言うのとでは言葉の重みがまったく違います。

パーソナルカラーは「似合う色」を探すことと同じく「似合わない色」を探すためのものでしょうか?それが目的であれば別ですが、「似合わない」を限定することはデメリットが多いことがおわかりいただけると思います。

逆に「似合う」という言葉も、実際、十分なコミュニケーションもないまま言われても、誰もまじめに受け止めることはできないと思います。

 

誰のための、何のためのパーソナルカラー?

パーソナルカラーのやり方、方法は人それぞれだと思います。カラリストであれば、習った先生のやり方に従ってその通りにしている方もいるでしょうし、経験を通じて変化した方もあるでしょう。

ファッションアドバイザーや美容師、ネイリストの方は、接客ツールの1つと考える方もあれば、顧客にとって頼れる存在になるためのスキルの1つかもしれません。

ただ、これだけパーソナルカラーが良くも悪くも広がった今、「自分はパーソナルカラーを通じて、何をどうしたい」のか、「どのようなパーソナルカラーのサービスを提供している」のか、「似合うということをどのように定義している」のか、を明確にするべきでしょう。

「似合わない」と言って顧客を傷つけるのが目的という人も、顧客が楽しめる色を減らすのが目的という人も、好きな色を嫌いにさせることが目的というカラリストもいないはずですが、似合う色を限定するあまり、そういうことが起きる可能性があるのも事実です。

だから「パーソナルカラー=似合う色」というフレーズに、我々カラーのプロが固執し続けるのはどうかと思うのです。

また、色を扱う仕事をする方でパーソナルカラーを学ぼうという方も、目的を明確にした上で学べば、そのスキルがより活きていきます。

単に「仕事だから」学ぶのではなく、「売り上げをもっと上げたい」のか、「色のことなら○○さん、と言われるような販売員になりたい」のか、「自信を持って顧客と接するため」なのか、「どんなプロになりたい」のか、目的をはっきりさせれば、学び方、取り入れ方も自ずと変わってくるでしょう。

 

イエローベースか?ブルーベースか?

パーソナルカラーと言えば、よく知られている言葉に「イエローベース」「ブルーベース」という言葉があります。

確かに色の考え方として非常に歴史があり、配色にもとても便利でパーソナルカラーを語る上で欠かせない考え方です。一般的な暖色・寒色という色の分け方ではなく、暖色のピンクでも黄みがかったサーモンピンクはイエローベース、青みのあるローズピンクはブルーベースで、寒色のブルーも黄みのあるターコイズはイエローベース、黄みのないピュアなブルーはブルーベースの色という分類方法です。

下の色票、上の列は全体に黄みがかってあたたかく動的なイメージがあるのに対し、下の列の色は青みがかってクールで静的なイメージがあるのがわかります。

0410_5

色を感覚的にとらえやすく、実際メイクアップやヘアカラーのメーカーも取り入れているからか、言葉だけが一人歩きして、ネット上でも「イエベ」「ブルベ」なんていう書き方も目につきます。

Yahoo知恵袋やOK WAVEでもこんな質問がよく書き込まれています。

「わたしはイエベの人なのですが、どんな色の口紅がおすすめですか?」

「パーソナルカラーでブルベと言われました。どんなヘアカラーが似合うでしょう?」

確かに人も「色」として見たら、イエローベースかブルーベースかに分類されるかもしれませんが、肌色、髪色、目の色、血色…人間は色々な色を含んでいますし、ヘアメイクやカラーコンタクトでその色を変えている人は多いです。

また、色は感覚的な心理量で識別されることが多いため、どこからどこがイエローで、どこからどこがブルーという統一された決まりはありません。 

上記の色票も、イエローベースからブルーベースへの色の変化の過程には無数の色が存在します。

0410_6色自体、イエローともブルーともいえないニュートラルなものもありますし、人そのものを「イエロー」「ブルー」に分けることは、実はそう簡単なことではありません。

 

11082638_838332256247017_6544126139344068897_n先日、 似合う色が変わってきたことを感じていたためとリサーチのため、デパートでパーソナルカラー診断を受けて来ました。

今までパーソナルカラー診断では「春」「秋」「冬」と色々な診断結果がありましたが、ひとつ共通していたのは「夏」の色がいちばん似合いにくいというものでした。

が、今回はじめて、ファーストは「秋」、セカンドが「夏」という診断でした。

肌色はイエローベースですが、手のひらの色はブルーベースで、両方のベースカラーを持っているからだそうです。

この理論には「?」と思いましたが、ドレーピングでは、以前はとても似合っていたように感じた「秋」の深い色だとバタ臭くなりすぎて、「秋」の中でも比較的明るめのくすんだ色や、似合わないと思っていた「夏」のスモーキーで明るめの柔らかい色が、顔をすっきりと見せ、似合っているように感じました。

今回、わたしがパーソナルカラー診断を受けた目的「似合う色が変わってきたので、今、似合う色を知りたい」「デパートでのパーソナルカラー診断がどのようなものか知りたい」から考えて、満足する内容でした。

先ほど「パーソナルカラーをサービスとして提供する、もしくは活用する際の目的」が大事と書きましたが、この受ける側が考える目的もとても大事です。

・似合う色が知りたいからパーソナルカラー診断を受ける

・今までのパーソナルカラー診断に納得がいかなかったのでもう一度受ける

・カラリストとして仕事をしたいからパーソナルカラーを学ぶ

・ファッションの接客に活かしたいからパーソナルカラーを身につける

相手の目的によって、伝える側も伝え方を変えているはずです。

 

パーソナルカラーはあくまでもひとつのツール

今日は、久しぶりの更新というのもあって、長々と暑苦しい散文となりましたが(笑)

パーソナルカラーは、個人にも、色を扱うあらゆる仕事にも役立つ「ひとつのツール」です。

そして目的によって色々な使い方ができるおもしろいツールでもあります。

「パーソナルカラー診断」をプロとして提供するには学ぶ時間も経験も必要ですが、パーソナルカラーの理論自体はとてもシンプルで簡単です。

そしてその理論やテクニックを、もっと多くの方に活用して欲しいと、私は考えています。

これまでファッションやヘアメイク、ブライダルなどの現場で伝えられてきたパーソナルカラーの多くは、人が持つ色の特徴をチェックし、4シーズンに当てはめて似合う色を提案するというものでした。

でも、それは従来の「パーソナルカラー診断」を簡易化したもので、それぞれの仕事にすぐに役立てるものなのかは疑問です。

今までのやり方が間違っていたと批判しているのではありません。パーソナルカラーが日本に紹介された頃から、時代もファッションも人の生き方もずいぶん変わりました。

私たちカラーのプロは、多くの人にもっと活用してもらえるように、変えるべきところは変えていきましょう、というお話です。

そしてこのシンプルで簡単な理論を現場で活用する人は、実践に活かして自分のモノにし、次のステップに進みましょう、というお話です。

長々とパーソナルカラーについて書きましたが、ファッションやヘアメイク、ネイルなど「人と色を扱う仕事」では、パーソナルカラー的に「似合う」ということにだけに縛られず、自分の感覚として「似合う」と感じる感性も決して忘れてはいけないということも、書き加えておきます。

 

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