その色は誰のもの?「色彩の商標登録」

先日、新しく立ち上がった「産業色彩技術協会」の第1回セミナーに参加しました。

以下、協会の概要から引用させていただきました。

当協会は、”国際交流”、”研究・技術開発”、”教育”の3つのコンセプトのもとに、

平成26年9月3日に設立いたしました。

塗装におけるトレーサビリティシステムの導入、色彩商標に関する情報の提供、

海外雑誌投稿支援制度の導入、計測機器の標準化等を推進するとともに、

産業色彩管理士制度(海外資格制度との互換性も含む。)の導入を図り、

塗料・塗装業界の進歩と発展とともに、

産業の反映と国民生活の向上に寄与することを目的としています。 

第1回目と言うことで、協会の成り立ちや今後の活動についての説明が主でしたが、今年の4月から導入予定の「色彩のみの商標の登録」についての話もありました。

施行前ということもあってまだ情報が少ないのですが、今回具体的な話を聞くことができました。

この「色彩の商標登録」、欧米をはじめ海外ではすでに一般的で、色に限らず音や香り、味などの視覚で認識できないものを対象にする国も増えてきているようです。

この色彩の商標について調べている中で、おもしろい記事を見つけたのでこちらでご紹介します。

【この色はどの海外ブランド?】10の商標ブランドカラー

※画像はbtraxのサイトのスクリーンショット↓

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記事では10のブランドや商品の商標となっているカラーを紹介していますが、日本から見てなるほどというものもあれば、なじみのないものもあります。

ティファニーのブルーやルブタンのレッドソールはあまりにも有名ですし、スターバックスのグリーンはインスパイアされたような類似カラーロゴも見かけますし、パロディー的に使われたり、模倣されているケースも時々見かけたりします。

この他にも色とブランド、色と商品が直結している例として、コカコーラを思い浮かべる方は多いと思いますが、今回の色の商標登録も、コカコーラのように「使用を継続することで、特定の企業の物になったと認識されるようになった場合は、登録が認められる」ようです。

つまり社名やブランド名、ドメイン名のように「先におさえておこう」と考えて、特定の色を商標としておさえることは不可能のようです。

また基本的に色はRGB値での登録となり、類似色が申請される可能性も高いのですが、このあたりの可否の基準もまだ明確ではないようです。

まだ施行前で情報が少ないため、あまりひねくれてものを見てはいけませんが(笑)、この法律の改正で、今後新しく生まれてくるビジネスのブレーキになったり、障害にならないようなものであってほしいと思いました。

もちろん「色の商標」のおかげで、商標の登録など様々なビジネスが発生することは大いに考えられますが、ユーザー側から見て本当にメリットになることがどうかを考える必要はあるでしょう。

皆さんは、日本ではじめて明太子を販売した「ふくや」創業者の川原俊夫さんが「明太子」を商標登録もせず、製造法特許も取得せずに地元の同業者へ製造方法を教えて、その後様々な明太子が生み出され、博多名物になったという話をご存じでしょうか?

(時代背景も今とはもちろん異なりますが)この方はその時、ユーザーや地元へのメリットが見えていたのだと、あらためて思い返しました。 

色は色としてだけ存在するのではなく、必ず「もの」とセットで存在します。

ブランドカラー、商品カラーはそれを作った企業のものですが、「色」そのものはみんなのものであり、誰のものでもないのかも知れません。